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映画「バーディー(Birdy)」(アラン・パーカー監督)の鳥へのピュアな感覚を思い出して

 アラン・パーカー監督の映画「バーディー」に込められた鳥へのピュアなこだわりを思い出して、久しぶりに見てみた。十数年来も、折に触れて甦ってくるものがあった。

 年月を経て、記憶が濾されて、心に残っていたものと、実際の映画がすっかりずれてしまっているのも、興味深いことだった。なぜか私の記憶からは、登場する二人の親友がベトナム戦争で深い痛手を負った青年である部分はすっかり飛んでいた。私の中に濃く残っていたのは、主人公の青年の鳥への強い執着だった。それが、鳩の群れの羽根の温もりとして、感覚的に記憶に染み付いていたようだ。そこまで、この作品に説得力があった証しでもあるのだろう。

 再び見て、製作者の想像力に富んだ鳥への思いの断片が、幾重にも重ねられた詩情の豊かさを感じた。激しい精神の起伏もあるが、その間に挿入される情景への気配りと描写は意外に繊細である。とくに、カナリアを巡る青年との関わりの部分は、他には決してありえないだろう。

 青年の鳥への熱い思いは、自分も鳥であるという観念にまでとっくに高まっており、鳥のように飛びたいというあくなき試みにまで発展していく。それだけでも、狂気の天上に迷い込んでいく契機は十分に含まれている。ベトナム戦争による精神的外傷が、青年を緘黙の狂気に追いやったという筋書きがなくても、強い説得力はある。私の中でも、自ずと純粋な鳥への思いの部分が残ったのも、そんな編集の力が無意識のうちに働いていたのだろう。

 また新たな発見とともに心に染み付く一作となった。

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