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美術作家「やなぎ みわ」Yanagi Miwa氏のベネチア・ビエンナーレ作品の放送を見てーNHK日曜美術館ー美術エッセイ

 最近のNHK日曜美術館で「やなぎ みわ」Yanagi Miwa氏のベネチア・ビエンナーレ出品作の放送には、ある種のカルチャーショックを覚えました。

やなぎみわの参考書籍

ベネチアビエンナーレの参考書籍

 女性として生きてきたことの思いとアイデンティティーを、思いっきりグロテスクなまでの笑い叫ぶ女の巨大な写真で表現したのには圧倒されます。どこかサルバドール・ダリの「内乱の予感」にも通じるような激しさを感じました。

 やなぎみわ氏は、これまでにも、童話の中の少女像を自分のイメージで象徴的に変容させたり、理想的で憧れの老女の姿を作り出してきたことも紹介されます。そのように強く自分のコンセプトを打ち出すのには、写真は適した技法なのかもしれません。

 興味深かったのは、やなぎみわ氏が、最も日本の伝統的な地、京都に住みながら、周囲を取り囲む伝統の厚味のようなものを、意識的、無意識的に強く排除して、ひたすら自分の内面を追求して制作に没頭してきたようにも思われるところでした。ベネチア・ビエンナーレでも、案の定というべきか、外国人が日本の伝統を作品の中に探して質問したりしたそうですが、それは氏の意図からは遠いところにあるような印象を受けました。しかし、氏が制作を続けていく長い年月のうちに、いつか身近な伝統の大きさと向き合うときが訪れると、予感のようなものも覚えました。

 美術とはいっても領域が広く、やなぎみわ氏が写真によって素早くコンセプトを展開していく過程には、物語世界を見るときの印象も受けました。「美術作家」と氏が標榜する所以も、そのあたりにあるのかもしれません。先のカルチャーショックは、自分の土俵とあまりに隔たった、その表現の目まぐるしい展開に感じたアイデンティティークライシスだったのかもしれないとも思いました。

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「文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

突然のコメント失礼致します。
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もしよろしければ、こちらのページから相互リンク登録していただけましたら幸いです。
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今後ともよろしくお願い致します。
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投稿: sirube | 2009年7月27日 (月) 17時41分

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