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三島由紀夫近代能楽集「葵上(あおいのうえ)」「卒塔婆小町(そとばこまち)」美輪明宏(みわあきひろ)演出主演:名演劇との出会い

三島由紀夫近代能楽集「葵上(あおいのうえ)」「卒塔婆小町(そとばこまち)」美輪明宏(みわあきひろ)演出主演(4月から5月にかけてルテアトル銀座にて):名演劇との出会い

「卒塔婆小町」は、ずいぶん昔にやはり美輪明宏主演で見たことを覚えています。印象的なステージでした。美輪氏自身も年配になり、主演の老女役にも円熟味とさらに実感にちかいリアリティーが増した公演になることでしょう。相手の詩人は、三島由紀夫自身を象徴していることは容易に読み取れます。すでに他界した氏が、異界から現れて美輪氏と演じるような、シナリオの中にある時空間を越えた逢い引きがそのまま現実となるような多相の興味深さも増すことと思います。輪廻転生の思いが、ステージ上に実現する公演ともなるわけです。
 なんと言っても、詩人が老女に向かって「小町、君は美しい。世界中でいちばん美しい」と言って命を落とすクライマックスのセリフが決まるかどうかがみどころです。その印象深さは、いつまでも心に残ることでしょう。

「葵上」は、昏睡に陥った妻の病室に女の生き霊が現れて夫との恋の怨念を晴らしていく筋立てですが、精神分析によるリビドーの解放などとあからさまな言葉が出てきて、まず興味を引き付けられます。その伝からいくと、妻の昏睡というのも、もしかしたら極度の欲求不満による発作的なものという、精神的にポテンシャルの高い強度な昏迷であることが暗示されます。そして枕元での女の生き霊による露骨な夫に対する誘惑の言葉に、妻は夢の中で悶えます。湖上のヨットと化した病室の中で、生き霊の愛のささやきは妻を無視して続けられます。夫がついに現実と幻の間で錯乱に陥ったとき、女の生き霊による復讐は遂げられる・・・

 こうしてみると、二つとも夢と現の世界を往還する、まさに夢幻能の世界を堪能できる構成になっています。そこに彼岸からの三島氏のメッセージがいよいよ時を経て濃さを増して感じられてくるのも、今回の公演の興味深い点だと思います。

三島由紀夫の演劇「黒蜥蜴」のページ!

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