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最近見たテレビ番組、「美の巨人たち」(テレビ東京)で出会った絵画の印象:絵画鑑賞:有名画家の名画鑑賞

ルネ・マグリット「ピレネーの城」

マグリットの仕掛けはすでに有名だけれど、改めて並べてみると、よく考えられた仕掛けだと、興味深く見てしまいました。
 とりわけ今日の主題の「ピレネーの城」が、彼が幼いころに親しんだ砕石場と結び付きがあるのではという話には引かれました。誰でも画家は、常に幼いころの思い出や印象に立ち返るのを繰り返しているのではないでしょうか。
 彼の場合、それが砕石場だったというのは、新鮮でもあり、いかにもマグリットらしいと思いました。
 マグリットが若き画家たちと語り合ったというブリュッセルのカフェが紹介されていましたが、様々の絵やオブジェがあふれ返った古い店内はなんとも魅力的。カフェには目がないぼくは、強く憧れてしまいました。東京にはこんなカフェはないのかな? 
 かつて金沢で、五木寛之氏がデビュー作の小説を書いたというカフェに行ったことがありましたが、あそこには古い噴水があったり、温もりのあるアーチ形の壁など、落ち着いた雰囲気でした。
 以来無意識に似たようなのを探していますが、未だに出会っていません。どなたか、機会があったら教えて下さい。

ゴッホ「カラスの群れ飛ぶ麦畑」

ゴッホが自らの腹をピストルで撃って亡くなる二週間余り前に描かれたという作品。単純な麦畑の絵などではない、そこに秘められた深い意味が読み解かれていきます。
 ゴッホ自身が秘蔵する版画の中に、葬列が進む麦畑の作品があり、またキリスト教社会では麦を刈ることが死を意味することから、自らの死を仄めかし予感させるものではないかという話もありました。
 小林秀雄はこの絵を前にして、これはもはや絵ではなく破壊だと言ったそうですが、やはり末期の雰囲気を感じ取ったのかもしれません。
 麦の穂のざわめき、群れ飛ぶカラス、途切れた道など不穏を感じさせないものはありません。画家の最晩年の心境をじっくり見る機会となりました。

竹久夢二「黒船屋」

恋多き画家の美人画の代表作。竹久夢二の黒猫を抱いた絵はたくさん見たことがありあすが、この絵は初めてでした。期間限定で公開されるのみとのこと。素晴らしい作りの和室の床の間に飾られている絵は、それだけでも殿堂の奥深くに大切そうに蔵われている雰囲気を放っています。
 恋物語と一緒に由来を語られる絵は、よく見かける氏の絵よりも確かに一段の厚みが感じられます。
 ぼくの周りにも恋多き芸術家はゴロゴロいますが、残念ながら「竹久夢二」はいません。その差はどこから来るのでしょう? ちょっと考えさせられるよい機会となりました。みんなあと一歩という感じはするのだけれど、花開くまでには至っていません。芸術の甘い雰囲気(本当はそんなに甘いかな?)に酔うだけで満足しているのか、創造の孤独に耐えられず逃げているだけなのか、時代に会えず不遇の身に甘んじているのだとぼやき続けるばかりなのか……。歴史的な画家たちの物語と比べて見ると案外面白い糸口が見えてきそうな気がします。

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