豊かさへの解放:出口が見えてきました:ペガサスの幻想絵画
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最近マリンバ奏者で作曲家の吉岡孝悦氏からプレゼントされたCDを聴きながら制作している。
氏とはかつて四ツ谷の石響(しゃっきょう)や上野の東京文化会館で音楽と絵画のコラボレーションを開催したことがある。
ステージ上に映し出された絵画に氏が作曲・演奏した曲に引き込まれ陶然となったものだが、アトリエで氏の演奏を再び聴くと、コラボレーションの場面にそのまま連れ戻され、幻想的な音色に魅了される。
リズミカルなテンポには筆の運びも刺激され、制作も異空間につれ去られたままはかどるのが妙だ。マリンバの音は胸腔に木霊し、体ごと音響の世界へと巻き込んでくれる。そこへ、鐘の音による美しい旋律は心地よい気の流れをかもしだす。
描くほど絵画の世界と吉岡氏の音楽が響き合い、氏は相当に視覚的にイメージしながら作曲しているにちがいないと思った。実際こちらのイメージも刺激され、どんどん膨らんでいく。
吉岡氏の、天才の域に達した人にしかあり得ない、厳しい鍛練から自由なリズムの世界に躍り出た軽妙な演奏の姿も浮かび、音楽家の魂と共感しながら描くという、画家にとってこれ以上はない至福を味わいながら制作に没頭できる。アトリエは、いつの間にかディオニソスの饗宴さながら高揚の渦に飲み込まれてしまっている。
ひたすら感謝!
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全体が複雑になってきて、下手をするとバランスを崩して収拾もつかなくなるところに差しかかってきました。
いちばん難しいところかもしれません。
それぞれのオブジェは存在を主張していますが、各々微妙な繋がりがあって、大きなモメントを形作っています。せっかく描いた物たちがよい調和を生み出してくれているのに、作者が壊してしまっては台無しです。
失敗すると、苦しい日々に突っ込まなければなりません。四十年のうち、何度も味わってきた苦い思いです。そこを切り抜けて、晴れがましい調和の世界へ導かれるように悪戦苦闘してきたような気がします。
が、調和の世界とは言っても、危ういバランスの上に成り立つ微妙で紙一重の不安定感を多分に孕んでいます。その狭い、わずかな解放の領域を探りながら、ここからはゆっくり前進しなければなりません。頼りになるのは、積み重ねてきた勘だけです。
ここに、これまでの失敗の積み重ねが力になります。行き詰まりに陥り易い陥穽を回避して、なんとか明るみに到達する隘路を示してくれるのも、経験と勘のみです。
さて、ここからどういうふうに導かれますか……
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