紅葉:ゆるやかに暮れに向かう年月に潜む思い

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 故郷の庭も、少しずつ紅葉し始めました。涼しくなったせいか、周りの動きも活発になったようにも感じられます。仕事が忙しくなり、体力も限界に近づいています。
 しかし、世の中、決して豊かで明るくなったわけではありません。フランス語の先生と話していても、そのことが滲み出してきます。日本人のフィアンセに会いにきた好青年のこのフランス人は、将来に何の展望も見いだせず、真っ暗だと臆面もなく漏らします。好きな絵も音楽も、暗いものばかり。
 三十年前に、友人たちと出会ったときとは雰囲気がずいぶんと違い、フランス人も変わったものだと感じます。
 もっとも肝腎の古い友人も、仕事がないと、メールを開くと悲鳴があふれんばかり。ヨーロッパの危機は、ニュースで見ている以上に深刻のようです。
 経済ばかりでなく、全般的に破滅に向かう空気の中で、幻想画の着想も、押し流されまいと懸命に闘う方向と夢想に向かって解放を模索する方向と、あるいは薄暗い地獄の空気に敗北的に溶け込む果ての甘美さを求める方向と……


小山右人個展
2013年4月10日(水)~20日(土)日曜休み
ぎゃらりぃ朋
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
電話 03-3567-7577

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遅い花見

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 父の提案で、故郷の田園地帯へ花見に出掛けました。東京よりも一カ月近く遅れた花見です。
 川べりの土手は満開の桜とコブシの花々で覆われ、のどかな風景が広がっています。子供のころ昆虫を追いかけて飛び回った山里の風景の中に飛び込んだ錯覚に陥ってしまいました。
 日曜日にもかかわらず人影もほとんどなく、花の景色を独占です。行き当たった古寺の桜は見事でした。禅寺には人影もなく、本堂も座禅堂にも自由に入ることが出来、神聖な雰囲気にどっぷり浸ることができました。
 両親と妹たちと、思いがけず昔のままのメンバーでの心落ち着く小旅行となりました。

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幻想画の源・・・どか雪で一変した町・・・「北越雪譜(ほくえつせっぷ)」鈴木牧之(すずきぼくし)の世界を思い出しました

幻想画の源・・・どか雪で一変した町・・・「北越雪譜(ほくえつせっぷ)」鈴木牧之(すずきぼくし)の世界を思い出しました

 今年も早年末となりました。新型インフルエンザの流行もありましたか、例年になく慌しい師走となりました。ブログの更新も遅くなってしまいました。Photo

 写真も二週間あまりも前、故郷の街にどか雪が降ったときのものです。温暖化以後、積雪をほとんど経験しなくなった街に大雪が降ると、驚きと昔の思いに捕われてしまいます。雪と闘うのが当たり前だったころの情景は、まさに「北越雪譜」の世界だったと感慨深く思い出されます。Photo_2

 お年寄りたちも雪に閉ざされて外出できなくなり、訪ね歩くこととなりました。古い民家にこもった温もり、小路の水溜りに響く足音、ざらめ雪の崩れる音、つららから垂れる水音、懐かしさを掻き立てないものはありません。そして、この故郷の風の中の仕事こそ、幻想画の中の世界そのままだと、解け合っていくのを感じます。Photo_3

 年の瀬にあたり、心と幻想画の原点について、懐かしさも込めて思い巡らしました。皆様もよいお年をお迎え下さい!

 

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静かな北風の安らぎ

 個展が終了して、また日々の生活に戻りました。とはいっても、個展期間中も、仕事を休むわけにはいかなかったのですが。

 北国の街へ帰って、きょうはお年寄りのお宅を訪ね歩きました。海の方からの冷たい風も、穏やかに感じられました。街は閑散としています。しかし、この空気、風は、やはりどこでも感じられない独特のものなんですね。

 個展の間、絵のことについて尋ねられると、空気だとか風を描こうとした、などとわかったような偉そうな説明を繰り返していましたが、言っているうちに、自分の方も妙に世界が開けてくるような気がするものです。きょう、頬に北風を感じながら、街には取るべきものは何もないけれど、この風だけは独特だ、などと納得したような気分にもなりました。そして、本当に風が伝わるような絵が描けたらよいな、とも思いました。

 どこのお宅を訪ねても、この季節、お年寄りの蒲団の足元に猫が蹲っている光景に出会います。暖かい季節、どこかへ行ってしまったのかと案じていた猫が、ちゃんと戻っているのには微笑ましいものを感じました

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みぞれの水溜りに椿の花びら

 きょうは訪ね歩く北風の街は大荒れでした。足元の水溜りにはみぞれと椿の赤い花びらが鮮やかに入り混じっていました。冷たい季節風に、東京では感じられない重い湿り気を頬に受けて、子供のころの感覚をふと思い出しました。自分は昔と変わらず、こんな風と感覚的につながっていたのだと、妙な発見をした気分になりました。

 外国の友人からはクリスマスカードが届き、こちらは年賀状を書くのに忙しい、年末らしい日々になりました。

 新しい年の個展に向けて、DMも作っています。今や、家庭用のプリンターの方が、印刷会社のものよりはるかにすぐれているそうで、美術専門の印刷会社にもテンペラの微妙な色合いは出せないと言われたことがありました。それ以来、DMは自分で作るほかなくなりました。

 慌しい年の瀬ですが、今年もこのブログを訪ねてくださったことに、この機会に感謝申し上げます

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よの木

 きょうは海辺の故郷の街の往診日でした。油蝉の声がかまびすしい夏真っ盛りの情趣を感じながら、街を歩きました。

 古い家屋がウナギの寝床さながら連なった小路の趣は、タイムスリップして昔の懐かしい時に紛れ込んだような錯覚を催します。傾きかけた家々の板壁、夏の花々、雑草、荒れた苔にも何かしら安らぎを感じます。

 外国の写真家とか建築家に、こんな人間の匂いが濃く染みついた場所を紹介したらさぞ感動するだろうなと、通るたび思います。東京と故郷の街を往復している私自身、異国へ来たような感じもします。

 そして坂道を上っていくと、傍らの崖の上に日本海を望む神社があります。きょうは、崖からせり出した鳥居の脇の大木が、盛夏に思い切り枝を広げて欝蒼とのしかかるほどにも見えました。

 樫の木か樟のようにも見えますが、そうでもなさそうです。さっそく訪ねた百歳近いおじいさんに訊いてみたところ、「よの木」というのだそうです。手元の辞書では見当たらないので、方言か愛称なのでしょうか?

 ささやかですが、真夏の一日に印象に残った眺めでした。

Photo_2 「花渦」(テンペラ混合技法 キャンバス10号F) 

 

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