幻想画家の建築探訪ーー直島 地中美術館 安藤忠雄 ベネッセハウス Musee sous terrain a Naosima(安藤忠雄設計)
最近、友人に直島の地中美術館について紹介する機会がありましたので、懐かしさも含めて書きたいと思います。
初めて訪れたのは、もう三年余り前になりますでしょうか。安藤忠雄氏設計の評判の美術館とあって、高松港を出港するときから楽しみが膨らみました。
ベネッセハウスの現代建築と美術の展示を見た後、静かな瀬戸内海の湾を望みながら地中美術館へ向かいました。途中の海岸も、さりげなく彫刻作品の展示場になっているのが直島ならではです。
さて地中美術館ですが、名前のとおり、地中の美術館ですから、外観はほんの一部を望むことができるだけです。(内部は写真厳禁で、掲載できないのが残念です)
一歩踏み込むと、コンクリート打ちっぱなしの暗い廊下や、傾いだ通路に、迷路か秘密のトーチカに潜入したような気分にさせられます。
クロード・モネ室:靴から柔らかなスリッパに履き代えさせられます。そのわけがまもなくわかりました。天井の隙間から射し込む薄暗い外光の部屋は、滑らかな大理石の床で、音もなく水面をすべるように歩けるのです。四囲の壁に展示されたモネの絵を、睡蓮の浮遊の感覚になって、こんなふうに鑑賞したのは初めてでした。
ジェームズ・タレル室:薄暗いコンクリートの通路を歩き、次に入った部屋には、海中を想わせるブルーのスクリーンがありました。たしかにスクリーンのようではありますが、何やら淡い靄を見ているような感覚にも引き込まれます。そのスクリーンの前に上がってよいと係員に促されます。さて、その幕に近づいてみると、皮膜は消え、青い霧のような光に吸い込まれます。とっくに幕を通り越して、奥の空間に紛れ込んでしまっています。そこは、光で作られた霧の世界なのでした。
ウォルター・デ・マリア室:コンクリートの階段の上に、漆黒の光る球体の置かれた部屋。
現代的な教会の祭壇のような印象も受けます。珍しい美術館の探検を、ほっと癒される部屋でもあります。階段に腰掛けてぼんやり時を過ごしている旅行者も何人かいました。
さりげなくコンクリート壁に囲まれただけの空間もあって、そこの天井は四角く抜けていて、空をそのまま仰ぐことができます。しかし、空とも思われず、建築の一部として描かれた壁面のように見えてくるのが妙でした。
瀬戸内海を眺望する美術館のレストラン:私が行ったときは空いていて、他に三人外人の旅行者がいただけでした。彼らがフランス語で話し始めたので、一緒に会話に加わりました。一組のカップルは、新婚旅行のようで、親しくなって、それから京都まで半日旅をともにしました。夫のほうは、趣味でかなり熱心に写真に凝っているようで、妻の方は、将来美しい橋を設計するのを夢見る建築家でした。そういう人が、わざわざ新婚旅行に選ぶような場所なのだとも思いました。
彼らは、直島に点在する民家を改築した美術館にも詳しかったですが、私は残念ながら訪れる時間はありませんでした。
込み合う休日だと、せっかくの空間を楽しむ美術館の趣きも半減してしまいますから、ゆったり島を回れる穴場の日時がお勧めです
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