小説と絵の冊子が実現しましたーー幻想小説と幻想絵画の画本「孵化」小山右人と有人

小説と絵の冊子が実現しましたー幻想小説と幻想絵画の画本「孵化」小山右人と有人

 以前の記事でも書いた短編小説と絵画を合わせた画本ですが、ようやく実現の運びとなりました。

 小説と絵を合わせた本の制作は、かつてからの念願で、思い通りに実現したかったので、出版社には頼まず、自ら作ることにしました。Photo_2

 さて、小説の原稿も絵の写真も、すべてデータに入っているのに、近頃の印刷事情はとても複雑なことを知らされました。これをさらに印刷会社に合ったソフトに入れ替えなければなりません。この単純そうな作業を、どこも引き受けてくれないのには驚きました。もし頼むと、法外な金額を請求されます。

 思わぬところにネックがありましたが、やはり探せば応えてくれるところがあるものです。それにしても、やっとたどり着いたという感じです。なんと商売気のない業界でしょう!

 内容ですが、自分が絵を描いたり小説を書いたりする創造性のエネルギーがどこから来ているのか? 展覧会中にもよく尋ねられる質問ですが、一言では難しく、物語で表すのがいちばんと、かねてより思っていました。

「孵化」というのは、まさに創造性のエネルギーが爆発的に放出される瞬間を象徴しています。葛藤のエネルギーを溜め込んだ主人公の物語のクライマックスで、この爆発的放出は起こります。

 小説と絵は、ほぼ同時進行で制作されました。二重奏、あるいはコラボレーションの作用で、より表現が浮き彫りになると思います。

 この冊子は、来年(2010年)11月~12月の個展にご来場いただいて希望された方のみに差し上げます。もちろん無料です。一般の販売は行いません。

 芸術家の気まぐれですが、お楽しみに、大切になさって下さい、もしや稀観本となりますことを夢見つつ・・・

 

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短編小説「孵化」と絵を合わせた画本制作にとりかかりました

短編小説「孵化」と絵を合わせた画本制作にとりかかりました(小説と幻想絵画の融合)

 「孵化」と題した三面の幻想絵画を2007年の個展(ぎゃらりぃ朋・銀座)で発表しました。

 この幻想物語ふうの絵画とほぼ同時に、同じ題の短編小説の執筆が進行していました。いずれ短編小説と絵画を融合させた画本を作ることが夢でした。このたびその仕事に着手しました。

 何やら物語風な絵画にどんな意図が込められているか、ご来場の方々にはしばしば尋ねられましたが、一言で説明するには難渋しました。しかし、作者の意図が正確に伝わらなくても、ご覧になる方の自由な想像の広がりを、傍にいて実感することもできました。それがまた絵画の妙味でもあります。

 マリンバ奏者で作曲家の吉岡孝悦氏のインスピレーションで、音楽に翻訳され、コラボレーションも実現しました。コア石響や東京文化会館のホールで、ステージ上のスクリーンに大きく投影され、絵画の中から音楽があふれ出しました。Photo

 音楽家の感性は敏感で、コラボレーションを先取りしていたのかもしれません。その点では、元々絵画と小説のコラボレーションを目指していた作品だったといえるのかもしれません。

 おおよその体裁は写真のようで、早ければ年内、遅くとも来年11月の個展にまでは仕上げたいと思います。是非ご希望される方のみに差し上げたいと存じます。ご来場のときにお申し付け下さい。Photo_2

 

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ゴーギャン展に感じた画家とタヒチを巡る物語ー画家と小説ーゴーギャンとモーム・画家の壮大な旅に強く触発された小説、モームの「月と六ペンス」

ゴーギャンとタヒチを巡る物語ー画家と小説ーゴーギャンとモーム・画家の壮大な旅に強く触発された小説、モームの「月と六ペンス」

ゴーギャンの参考書籍

モームの参考書籍

幻想絵画の参考書籍

 ゴーギャンの絵がどうしてこれほど人を魅了するのか? 思うとき、それは作品の魅力ばかりではないことを強く感じます。そこには、文明に侵された社会から、原始の人間の姿の驚きを感じさせる世界への壮大な旅の流れが関わっていることを抜きには考えられません。 

 ゴーギャン自身も驚きと発見の旅の只中にいることを強く自覚して、それをなんとか人に伝えたいという気持ちが、版画の連作や絵入りの手紙などから窺われます。その断片的な物語が、作家の心を揺り動かさぬはずはありません。

 ウィリアム・ソマーセット・モームの「月と六ペンス」には、私も長い間魅了され続けてきました。そこには、画家自身の日常を越えた生き方の物語が展開され、絵と同様、読者をいっとき別の世界へ導く甘い想像の蜜に溢れているからにちがいありません。今回のゴーギャン展を巡りながら、いつのまにかこの物語世界をもゆっくり巡っていたことを後から思い出しました。

 モームについては、高校生のころ、家庭教師の先生に、「人間の絆」の原書「Of Human Bondage」の大きなハードカバーをプレゼントされ、高校の間に読み切るといいと、勧められたのが深い思い出です。医師を目指す若者に是非という先生の思いも、今思い起こされます。

 ゴーギャン自身の短編小説「ノア・ノア」は、タヒチの海へ漁に出る素朴なカヌーの水音や海面の輝きまで見えそうな、とてもリアリティーに溢れた美しい名品です。いつまでも印象に残っていて、ゴーギャンの絵に触れるたびタヒチの情景とともに甦ってきます。

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タヒチのDVD

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桜のイメージをふくらまそうと(絵画と小説)ーー「桜の木の下には・・・」水面に映える桜

 今年の桜は、とくに絵のイメージをふくらませたいものだと楽しみにしています。去年偶々満開の時期に遭遇することができた京都の円山公園の夜桜、枝垂桜や、平安神宮の圧倒的な桜の美しさが、今回の個展の作品にも存分に反映された観もあったせいかもしれません。

 きょう、新宿御苑の近くで仕事があったので、訪れてみました。染井吉野はまだ三分から五分咲きといったところですが、寒桜は今が盛りです。

 肌寒く小雨交じりの天気もあったでしょうか。桜の季節にはもの哀しい思いも付きまといます。梶井基次郎の「桜の木の下には、屍体が埋まっている・・・」、樋口一葉の「闇桜」、坂口安吾の「桜の森の満開の下」・・・侘しい思いに呪縛されるようですが、空寒い新宿御苑の今日の桜の様子は、決して私をそんな気持ちに引き込むようではありませんでした。

 これからもっと別の閃きが熟しそうな予感もしました。

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「花宴」Yujin Koyama

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小説と幻想絵画ー小生の小説「マンモスの牙」(第二十八回新潮新人賞)と「ネペンテス」(新潮1997年12月号)

 幻想画のこれまではブログで未公開だった一点です。

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(「スフィンクスの苦闘」テンペラ混合技法 F4キャンバス)


 小生の小説「ネペンテス」(「新潮」1997年12月号)を元に描いた幻想的雰囲気の作品です。

 小説の方は、ネペンテス、すなわち、どんな苦しみ(ペンテス)をも打ち消し(ネ)、忘れさせる怪しい秘薬を秘めているようなウツボカズラを、家の裏庭に栽培し、そこをネペンテスの領域と称して引きこもり世界の神秘を追求しようとしているスフィンクス兄貴と、弟のぼくとの間で展開する物語。スフィンクス兄貴は、かつては医学生だったけれども、様々の苦悩や事故を経験し、中退して今は家の裏のこの不思議な領域に籠もりきりになっている。そこを訪れる妖しい女性やぼくとの間に、事件と物語が発展していく・・・・・

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小説「マンモスの牙」掲載号(新潮1996年11月号)

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