不屈の生命力

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 往診のたび、看護士と一緒に見守っている花があります。廃屋の下に華やかな花壇のように咲き誇る花。年を重ねて見守るうち、雪が積もろうが一年中枯れないことが分かりました。日が陰ったり、雨が降ったりすると、鮮やかな花々は閉じます。
 何にも負けないような花にも、この夏最大の危機が訪れました。周りに背の高い雑草が生えて、日差しを遮ったのです。これにはさすがに応えたようで、ほとんど枯れかけていました。
 ところが、どなたかが周りの雑草を刈り取ってくれたようなのです。花は、たちまち勢いを取り戻しました。我々は、思わず嘆声を発しました




小山右人個展
2013年4月10日(水)~20日(土)日曜休み
ぎゃらりぃ朋
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
電話 03-3567-7577

(「命迸る」F0号)

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バラ一輪:孤高が放つ力:気高さの魅力

 

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秋の庭に、真紅のバラが一輪咲いています。小さいのだけれど、周りから浮き上がって心もとな気に空間を漂っているようでもあります。なぜか目に止まって、ほおっておけないような感じ。
 この花が発する力をそのまま描けたら。今度の個展も、こんな力を発する展覧会にできたら。そして、まだ見ぬ孤高の世界を気高く守った光り発する人にご来場賜れれば……!
 画廊に現れるだけで銀座の空気を引き締め、絵の前を歩く一歩ごとに磨き続けてきた気品の光彩を放つのはあなたかもしれない。

 あなたを待つ銀座の画廊は、静まり返った心地よさを見せながら、発表する者と訪れる人の見識を瞬時に問うような厳しさが背後に控えています。銀座とはそういうところだし、銀座で発表するということは、それだけ一瞬の油断も許されないところだということを、回を重ねるたびに思い知らされました

小山右人個展
2013年4月10日(水)~20日(土)日曜休み
ぎゃらりぃ朋
東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
電話 03-3567-7577

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「花と舞うきみへ」F0号

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往診で歩く残暑の街

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昨日は首都圏を10キロの往診鞄をぶら下げて回った。移動距離は100キロを越えただろうか。猛烈な残暑が体に応える。
 きょうは、故郷の街で診療と往診に追われた。かんかん照りに参って、体力の限界の中で動いている感じがする。
 

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そんな中で、街のあちこちに咲いている花が、一服の清涼剤として力付けてくれる。ここのところ花を描いているので、自然に関心が向かうせいもあるかもしれない。
 いつも通る道の、枯れたと思ったらまた咲き出した雑草の花の生命力。色鮮やかな花の形も気になる。
 ブドウ棚のあるお宅では、果実が着実に太りつつあるようだ。

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 秋の涼しさと実りが待ち遠しい

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大地震:我が部屋の混乱と記憶の整理法

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 このたびの東北・関東大地震で被災されました方々に心よりお見舞い申し上げます。連日大変な光景が報道されますのを目の当たりにするにつけ、胸が痛みます。

 東京の小生の部屋ですら、本、書類、棚などあらゆるものが落ちて、床に散乱しました。津波の被害になど比べれば微々たるものですが、それでも細かく整理してきたものがごちゃごちゃになり、記憶の連鎖が無秩序に混乱させられるのには困惑と絶望感を味わわされました。

 元に復そうと書類や写真を整理するうち、小説の断片やら展覧会の情景が次々に現れました。それらはすでに心の奥に眠っていたのが大部分ですが、期せずして蘇ってきました。

 当時真剣になって悪戦苦闘していたつもりだったものも、時を隔ててみれば、ほんの小さな穴の中で自己満足的に足掻いていただけのようにも見えてきます。少し距離を置いた視点を獲得しているのに気づかされたりもします。

 結局棚を元通りに積み上げていくのは困難で、新しい自分の視点で過去の痕跡どもをコツコツと並べ代えていく作業に追われる羽目になりました。

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気ままに創作日記:長谷川等伯展、スキージャンプのアマン、立松和平氏急逝、多田祐子展、人気文芸ランキング:1「花世の立春・御宿かわせみ」平岩弓江、2「親鸞」五木寛之、3「新参者」東野圭吾

 カナダ、バンクーバーでの冬季オリンピックが始まりましたね。さっそく上村愛子選手は、四位と惜しかったです。
 スキージャンプのエース、アマン選手の飛距離の秘密について精密に追った最近のNHK番組には興味深いものがありました。不利なはずの小さな体でだれよりも遠く、速く飛べるのは、卓越したバランス感覚に因るのだと。・・・アマン自身も、飛んでいるときに鳥になったような恍惚を体験しているそうですが、我々も、仕事の中で日常を越えていくこの感覚を体験したり追求したりしているのではないかと、ふと考えたりしました。
 長谷川等伯の没後四百年特別展が、まもなく東京国立博物館で催されます。桃山時代に生きたこの巨匠のこれだけの展覧会が催されるのは珍しいとのこと。「花鳥図屏風」「烏鷺図屏風」「仏涅槃図」など楽しみです。
 作家の立松和平氏が、急逝されたのは驚きでした。氏の自然と密着したリアリティーのある文体には引かれてきました。吉野熊野地方に足しげく通って、小説を書き上げようとしているという話を以前読んで、いつか氏の文章をじっくり堪能しようと思っていました。氏の着実な文体でなければ、吉野熊野の奥深い自然と人間は描けないだろうという思いがありました。・・・突然の訃報に、各誌のコメントも戸惑っている感があります。くしくもアントニオ・タブッキの小説「供述によるとペレイラは・・・」は、まさに作家の急逝に臨んで慌てて記事を書かないために四苦八苦する編集長の哀れな人物像が物語の核となっていますが、そんな状況を彷彿させるような驚きだったと思います。心よりご冥福をお祈り致します。
 多田祐子展(Gallery Concept 21)多くの実績を重ね、ウィーン市の芸術名誉市民にも選ばれた氏の深みのある抽象画にふれてみたい。
 人気文芸ランキング(1月19日トーハン):1「花世の立春・御宿かわせみ」平岩弓江、2「親鸞」五木寛之、3「新参者」東野圭吾・・・ランキングは世相を感じるのに興味深いです。
 

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月みれば ちぢにものこそ 悲しけれ 我が身一つの 秋にはあらねど 大江千里(おおえのちさと)ーー日曜の月夜、東京の街にも秋祭りの笛太鼓が響き渡りましたーーハンモックに揺られて見る月の幻想画像

月みれば ちぢにものこそ 悲しけれ 我が身一つの 秋にはあらねど 大江千里(おおえのちさと)ーー日曜の月夜、東京の街にも秋祭りの笛太鼓が響き渡りましたーーハンモックに揺られて見る月の幻想画像

 夜になるとようやく涼しくなってきました。猛暑の間は、夜間でさえ外出はおっくうでしたが、月を眺める余裕もできました。

 さて今年はじめてハンモックを引っ張り出してきて、屋上でさわやかな夜風に吹かれました。わざわざ遠くへ出掛けなくても、手軽に味わえるリゾート気分です。

 心地よく「揺れる」というのは、リラックスとか贅沢な気分をもたらすようですね。つかの間、夜空を漂う気分を味わいました。Photo

 日曜日の夜、東京の空にも満月が皓々と輝きました。ゆっくり流れていく鱗雲に隠れたり現れたりして、なかなか風情がありました。

 電車や踏切の音は相変わらずですが、その間から、秋祭りの笛太鼓、子供の歓声が響いてきます。

 もう季節も秋に入りつつありますね。そのせいか、月の輝きもどこかもの哀しげに見えました。

ハンモックの商品

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百人一首の世界は空気が澄んでいたんでしょうね

 お正月の定番、百人一首を読みながら、遠いいにしえの空気の澄明度を感じていました。

 カルタ取りの傍らで、和歌の一言が持つ色彩とか透明度、静けさの質が、今とまるで違うように感じられてくるのが妙でした。

例えば、紀友則の「久かたの光りのどけき春の日にしず心なく花のちるらむ」

 桜の花びらが受ける光、辺りの静けさ、空気の澄み具合は、もう現代にはありえないような気さえしてきます。

 かの小野小町の「花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに」にしても同様です。平安神宮の枝垂桜を見ているときにもそんなことを考えていました。

 そのほか、空気の透明感と静けさを感じた句を、もう一度しみじみとしたためたくなりました。

柿本人麻「足びきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」

清少納言「よを籠めてとりの空音ははかるともよにあふさかのせきはゆるさじ」

紫式部「めぐり逢ひて見しやそれともわかぬまに雲がくれにし夜半のつきかな」

中納言家持「かささぎの渡せる橋におく霜のしろきを見れば夜ぞ更にける」

赤染衛門「やすらはで寝なましものを小夜ふけてかたぶくまでの月を見しかな」

山部赤人「田子の浦にうち出でて見れば白妙のふじのたかねにゆきはふりつつ」

紀貫之「人はいさ心もしらずふるさとははなぞむかしの香ににほひける」

持統天皇「春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天のかぐ山」

西行法師「歎けとて月やは物をおもはするかこちがほなるわがなみだかな」

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みぞれと海からの暴風と天上の雷の街

 今週の往診日は、荒れ模様でした。落ち葉が舞う街は、強い海からの風で、傘を広げていると身動きもなりませんでした。しかし、元々雪国の人は、これくらいではめげません。背を丸め、先の方を歩いている人を何人か、認めました。

 看護士もたくましく、長靴で平然と路地から路地をを潜り抜けて、患家を訪ねて回ります。水溜りに足を浸しながら歩く感覚は、子供のころを思い出させます。事実、この街は、たくさんの子供たち同士で雪合戦をしたときと眺めがほとんど変わっていません。歩くだけで、思い出が湧き出てきます。

 訪ねたおじいさんの脈を取ろうとしたら、「冷やっこい!」と思わず悲鳴をあげられてしまいました。こちらの手もすっかり凍えていたのに気づき、ストーブで温めさせてもらってから、診察に取り掛かりました。

 深々と蒲団に横たわるおじいさんは、何故か、行ったこともない富士山の樹海が夢に現れ、そこから帰ってこれなくなる恐ろしさに度々目覚めて困っていると、不思議さに溢れた眸でおっしゃいました。お話を聞くうちに、嵐の街に、深い樹林が広がるような情景が過りました。

 夜にかけても、空爆のような雷鳴が、時々頭上に轟き渡りました。

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往診で歩く故郷の街

街には温かい日差しが降り注いでいます。日本海縁の故郷の街を、往診で歩きました。

 どの家の前にも、花々が溢れています。真っ白な除虫菊が庭いっぱいに咲いたお宅、バラや名も知らない紫、ピンクの花など、一番美しい季節です。

 前庭で飼われているメダカや金魚を見ると、子供のころが懐かしくなります。小学校からは、元気な声が響いてきます。

 玄関脇の庭で、亀がぬうっと首を伸ばしたおじいさんのお宅では、枕元にいつもぶちの猫が寄り添っています。心配そうに、時々おじいさんの頭を舐めます。猫は、仲間を癒そうとするとき、舐めてあげるんだそうですね。きっと、おじいさんを励ますつもりなのかもしれません。

 皆、しっとりと海辺の土と穏やかな風と生き物たちと解け合っている感じがします。故郷の街を、しみじみと実感するときです。

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海岸で拾い集めた貝殻など。

これらも机上のコレクションになるでしょう。

Photo 「花渦」(テンペラ混合技法)

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海からの贈り物 海と夢

 流木は不思議ですね。惹かれるものを感じます。父が大手術を受ける二日前、不安な気持ちで海辺をさ迷っているとき出会った流木です。ーー奇妙な生き物みたいにも見えますよね。ーー父の手術は無事成功しました。この流木は、ぼくの机のコレクションを飾る一つの宝物になりそうです。

 それから突堤の隙間からのぞく何気ない海中の様子。水族館よりももっと幻想的に魚たちや海藻がたゆたう光景が眺められます。ーーこれからどこへ向かうのか、じっと海に耳傾けました。

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