特別な日に聞く曲

特別な日に聞く曲

 誕生日のきょう、背景に流れているのは「Mari Pokinen」の歌声。エストニアの若い歌手です。
 聞いたことのない幻想的な歌声と歌詞に、遠い異国趣味を揺り起こされます。コーヒーの味わいも、常よりも幾層倍に波紋を広げてゆきます。
 きっと、たくさんの神話や神秘の童話のある世界から生まれた歌声なんだろうな。今までじっと蹲って、物語の栄養を温めていた植物が、そっと芽吹いた感じ。
 深い雪国の雪解けの喜びにも通じる感覚。粉雪の細かい雪片が、陽の光を受けてきらめき、湧き立つ歓喜。舞い上がる感情の襞が歌声とない交ぜになって、澄み渡った空気の中に広がっていく。
 辺りは、すでに白い翼の天使たちに充たされている。羽ばたく天使たちは打ち沈んだ心を慰め、一緒に踊ろうと誘い続ける。否が応でも心は舞い上がり、いつのまにか共に天上の歌を謳ってしまっている……。
 そんな歌声に出会えただけでも、特別なきょう一日は至福にあふれ返ります。

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ヒットをねらえ!

ヒットをねらえ!

 新しいフランス語の先生は、ミュージシャンだ。前の先生もそうだったが、偶然だろうか? 他にも同じ志で日本に来た若者を知っている。近ごろのフランスの若者は、ミュージシャン志向なのだろうか?
 二回り上のぼくらの世代には、作家、詩人、画家志向が多かった。
 レッスンの話題は、自ずといかにヒット曲を飛ばして華々しくデビューするかということになる。ポール・マッカート似の若い先生は、日夜寝る間も惜しんでそのことを考え、作曲に励んでいる。
 興味深いのは、フランス人らしくヒットの要件をまず精密に分析することに集中する。
「例えば最近、ユーチューブで大ヒットしたものに何がある? それはなぜか、理由をあげてみて?」
 さて、そうして細かく出てきた要素を組み立て直せば大ヒットが飛ばせるか? 疑わしい気がする。何か大切なものが小刻みにされるだけで、かえってエキスが薄まっていく感じがする。アプローチのし方に決定的な誤りがあるのではないか?
 さて、まず肝心の彼の音楽を聴いてみる。ぼくの印象だが、コンピューターを駆使した音色は確かに美しい。しかし、イントロが長すぎる。いつまで経ってもいいところが始まらない。
 小説でも絵でも共通の、初心者にありがちな過ちを犯している感じがする。
 一瞬にして鑑賞者の心を掴まなければだめだ。ただでさえ慌ただしい世の中、聞き手はすぐに次のボタンを押してしまうだろう。
 ぼくが例を上げて彼に勧めたのは、「サティスファクション」ローリング・ストーンズ、「ヘルプ」「イエスタデー」ビートルズ、「アイラブユー」尾崎豊。ありふれたものだが、ヒットの要素をふんだんに含んでいる。
 とくに「サティスファクション」は、60-70年代の若者たちの、やる方ない欲求不満と憤懣の心を、ミック・ジャガーのたった一言で鷲掴みにした。ベトナム戦争の最中、はけ口を失っていた欲望が渦巻く重苦しさは日常だった。
 分析は、今の時代の深層に踏み込むべきではなかったか? 目先にぎわっているユーチューブのサイトを刻むだけでは見えてこないものがある。
 ならば、現代の若者に共通し、はけ口を求めて蠢いているルサンティマンは何か? それさえ見つかれば、一言で心を鷲掴みにできるかもしれない。時代を解放に導くステージのヒーローになれるかもしれない。カリスマに躍り出るチャンスだ。
 ある精神医学の研究会で、現代の若者の心性をテーマに取り上げたものがあった。その中で、ある演者いわく、今の若者に共通している気持ちは「寂しさ」だと。ヒットした歌には、必ずといってよいほど「寂しい」という言葉、ニュアンスが含まれているというのだ。
 なるほど。ベトナム戦争の頃とは打って変わって時代は豊かになった。不況とはいえ、当時とは比べ物にならないくらい便利な機器に囲まれている。欲望はそこそこに充たされている。人間関係の煩わしさからも、一定の距離を置くこともたやすくなった。一方で生まれたのは、個人の孤立だ。「寂しさ」は募り肥大する。
 そういえば、尾崎豊の「アイラブユー」にも「寂しさ持ち寄り」というフレーズがあったな……。
 どうやら「寂しさ」が、「サティスファクション」に替わり時代のキーワードの第一候補といってもよさそうだ。
 それを若いフランスのミュージシャンにも提言したが、頑固な彼は、キツネに摘ままれたような顔をしていた。これからゆっくり説得していくしかないだろう。
 好奇心旺盛なぼくは、じれったさを感じ、自分でさっさと作曲してみたい誘惑にも駆られる。
 このことは、他のフランス人にもメッセージを発信するだろう。向こうでも、若いミュージシャンが「寂しさ」をどんどん歌い始めるかもしれない。
 日本の若いミュージシャンも負けるな。
 さあ、世界の若者よ、「寂しい!」と叫べ。それが大ヒットの秘訣だ!

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ニューイヤーマリンバコンサート(音楽と絵画のコラボレーション)

 新春の1月6日(日)に、上野の東京文化会館にて、音楽と絵画のコラボレーションが催されます。マリンバとピアノの演奏とともに、ステージ上に次々に映し出される絵画からあふれ出る音楽をお楽しみください。

 新しい年の夢を彩る音色と画面になりますよう。

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Photo 「花渦」 (テンペラ混合技法 10号Fキャンバス)

渦巻くような花の嵐に、マリンバとピアノのどんな音色を想像されますか?

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「椰子の胎内」(テンペラ混合技法 F6号キャンバス)

椰子の胎内には、どんな音色が響くのでしょう? 意外と優しく清らかなメロディーが響き渡っているようですよ。

Photo_2 「豊饒の精」(テンペラ混合技法 F0号キャンバス)

新しい年も、豊饒な光と希望に満ち溢れますよう、豊かな音色が彩ってくれることでしょう。

マリンバ : 吉岡孝悦 ピアノ : 中川俊郎 画家 : 田所一紘、 小山右人 

2008年1月6日(日)14時開演(13:30開場)

東京文化会館小ホール

全自由席 前売り¥4000(当日¥4500)

チケット前売り

東京文化会館チケットサービス(03)5815-5452

ジャパンパーカッションセンター(03)3845-3041

ヤマハミュージック東京銀座店(03)3572-3134

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有賀和郎氏のお声かけにより、夢がまた一つ生まれました!

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(Marinba in Galleryのパンフレットより)



画家の有賀和郎氏のお声掛けで、東京、四谷で開かれた絵画と音楽のコラボレーションによるコンサート兼展覧会に、初めて行ってきました。作曲家で マリンバ・パーカッション奏者の吉岡孝悦氏、同じくピアニストの中川俊郎氏が、ステージ中央にプロジェクターで次々に映し出される画家たちの幻想的な絵画に命を吹き込む熱演をすると、これまで画廊や美術館で作品を見てきたのとはまったく異なって、絵画が動き出したり物語を語り始めるのは驚異的な体験でした。
 私にもかつて若いピアニストの方からコラボレーションのお誘いがあって、興味はあったのですが、どうやったらいいのかわからず、立ち消えになってしまっていたこともありました。それだけになおさら、いつか自分もこんな機会が持てたらと、将来に強く新鮮な夢をまた一つ抱くことができました。

(テンペラ技法による幻想絵画のホームページですhttp://homepage2.nifty.com/yujin-koyama/index.html)

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