貴重な余りに貴重な、贅沢な余りに贅沢な時間

貴重な余りに貴重な、贅沢な余りに贅沢な時間

 個展の会場で過ごす時間は、貴重で贅沢過ぎる。ここ何年間かの思いが凝縮した作品に囲まれている。
 そこへ、幼なじみや友人や美術愛好家が、遠路はるばる訪ねてくれる。小さなギャラリーの空間は、懐かしい記憶と日常を束の間離れた想像の遊ぶ世界に変貌する。
 この貴重な空間と時間のために、こつこつと描いてきた気すらする。
 ギャラリーにいる時間は、一秒も無駄にはしたくない。客足が途絶えたときには、自分の作品と向き合う貴重な時間となる。アトリエでは見えなかった自分の絵の姿が見えてくる。次の作品の構想も浮かぶ。
 他の贅沢で、これを凌いで人生の密度を濃くしてくれるものがあっただろうか?

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貴和皓山(きわこうざん)作陶展

 Photo 今年も貴和皓山(きわこうざん)氏の曜変天目の名陶を見ることができて幸いでした。

 いつも氏の曜変天目茶碗の中には夜空の宇宙の広がりを見てしまうのですが、今回はとくに「星愛」と展覧会のテーマにもあったように星空を強く感じました。とりわけ「皇星」と題された重厚な青の茶碗の内側には、実際の星空を眺めているような星の瞬きと、さらにその奥に広がる深遠な宇宙を感じ引き込まれてしまいました。ゴッホの絵の星空をふと連想もしましたが、もっと質感の異なる深みを覚えます。貴和氏が曜変天目の原点である中国の大地から見上げた大空への感動が実現しているものだと感じました

貴和皓山(きわこうざん)作陶展

平成23年1月26日~2月1日

松屋銀座 7階画廊

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高島野十郎の厳しい画作の境地

 先週のNHK新日曜美術館で、「高島野十郎」の特集をやっていましたね。恥ずかしいながら、この放送まで、こんな画家が日本にいたのを知りませんでした。

 どうして超秀才の、いくらでも可能性のある生き方から、俗なものを一切排除して、孤高の画業の道に入っていったのか、人の好奇心を引き付けて止まない神秘な生き様が山ほど隠されているのを感じます。もちろんそれは、作品に込められた深く精緻な精神性から来ていることが、紹介されていく写実を極めた絵から見えてきます。

 「睡蓮」の絵は(モネとは自ずと視点はまったく違うのですが)、自然の風景ながら、微動だにしない宇宙空間を見せられたような、一分の隙もない張り詰めた空気を感じます。

 中でも、私が最も驚かされたのは、渓流の作品でした。何日も渓流を見つめ続け、ついに水の動きが止まって、岩が動き出す瞬間を描き出したという境地には、日常の世界を突き抜けたものを感じさせられました。常識が反転される瞬間を描き出した絵といっていいのかもしれません。偶々その後、ある展覧会で、他の画家の渓流の絵を見る機会がありましたが、似たような情景でありながら、その奥行きの隔たりにため息が漏れたほどでした。

 十数年もかけたという雨の降る五重塔の絵も素晴らしかったですね。

 社会とのつながりをほとんど絶って、ひたすら絵や小説に打ち込んでいる人は、身近に何人か見かけてきましたが、あのすごい作品を作っていた人たちは今どこでひたすら黙々と創作に没頭しているのか、ふと脳裡を過りました。きっと将来、新たな高島野十郎として発見されるのかもしれません。

 あらゆるものを捨てて、一つのことに打ち込みたいと思っている人は結構多いと思いますが、現実的にできないとか、そういう生活に飛び込む勇気がないと感じる人も多いのではないでしょうか。そのような思いを、一生を捧げて貫いたところに、高島野十郎の偉大さと、人を魅了せずにはおかない深遠さがあるのではないでしょうか

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ポンペイ遺跡のバーチュアル美術館と初蝉の声

ポンペイ遺跡のバーチュアル美術館と初蝉の声

 夕立の後、庭から初蝉の声が聞こえてきました。俳句を考えていた父は、この句を作らねばと、想を練り始めた様子。

 小生は、PCでポンペイ遺跡のバーチュアル美術館の様子をフランスTVで見ていました。こうも幻想の領域をバーチュアルなハイテクで侵されていくと、自分の仕事の領域も狭くなっていくな、などと思っている折でもありました。

 さすがに歴史的な繁栄の古代都市の再現ですから、幻想芸術的にも見ごたえのあるものでした。

 そこへ、ふいに庭から聞こえてきた油蝉の声は、どこか遠く懐かしい世界から響いてくる音にも一瞬聞こえました。

次回の「小山右人個展」

 来年(2009年)2月11日~2月21日ぎゃらりぃ朋(東京 銀座)での個展の新たなテーマです。水面を中心に、その上空や、深層で繰り広げられる様々の生命の形の変幻自在をお楽しみに!Photo_5

「水面翔る」(みなもかける テンペラ混合技法キャンバス10号M)

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英国美術の現代史:ターナー賞の歩み展を見てーなぜコンセプチュアルアートに辟易して、古典的幻想画に惹かれるようになったか自分史を見る機会にも

 六本木の森美術館で開催中の「ターナー賞の歩み」展を見てきました。

予備知識も全然なしに、ただ「ターナー」と冠してあるのでイメージだけで飛び込んだのですが、予想外の展示に、ショックというか、失望的驚きを感じたというのが正直なところかもしれません。

 英国でも、 日本やアメリカと同時代的に似たようなコンセプチュアルアートが進展していたのですね。三十年余り前になりますが、意気盛んな先輩画家が、ラウシェンバーグやイヴ・クラインなどの写真を誇らしげに見せてくれた当時、新しい挑戦に胸躍ったことを思い出しました。

 そして次々に新しい試みや画家が日本でも輩出して、画廊巡りが新鮮だったのを思い出します。しかし、鋭い試みで時代を切り開いていくのも、一回限りで、鮮度がみるみる落ちていく哀しさも、肌身に実感したときでもありました。どこの画廊に行っても、「いつまで似たような訳のわかんない石ころがごろごろしてんだろう」と溜息が漏れた頃もありました。

 今回の展示の目玉らしい、親子の牛を、体の真ん中からぶった切りにしてホルマリン漬けにしてあるデミアン・ハーストの「作品」も、ある意味、残酷でショッキングな展示に限界的行き詰まりのようなものを感じました。「なにも、こんなに可哀想な展示をしなくたって、画家なら自分の筆力で、何倍もインパクトのある表現ができるだろうに」という批評が起こるのは必定だと思います。ぼくも、そちらの方に組すると思います。遠い昔、レオダルド・ダ・ヴィンチが、性交している男女の断面的解剖図を描いた方が、はるかに強烈なコンセプトを伝えてくるのが、逆説的に印象的に甦りました。

 ぼくにとって、現代アートが、時代を切り開く胸躍らす展開であったときから、退屈極まりない古物に変わっていく、自分の内面のアート史を見るようなきっかけにもなったといえるかもしれません。

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幻想画展開催中です! 想像の絵 夢の絵画

「夢幻のイストワール」展 開催中です。

 初めての画廊で、しかも銀座の真ん中の老舗画廊での展覧会とあって、新鮮な緊張を覚えています。三人の幻想画家は、どこか似通っているようにも見えますが、実は個性は大きく違っています。広い画廊に展開した三人の作品をご堪能いただければ幸いです。

私は、沖縄の八重山諸島を旅して感じた亜熱帯の幻想を中心テーマに出品しています。マングローブのジャングルに、夕暮れ時こだます不思議な鳥の鳴き声や、暗黒の川面に反射する星空は、湿気の多い風の奥に潜む神秘を感じさせました。

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2008年5月13日(火)~5月24日(土)日曜休み

彩鳳堂画廊(東京都中央区銀座6-7-7)

TEL 03-3575-0960

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ダニエル・オスト(Daniel Ost)氏の東寺での花の展示に恋焦がれて

 小説の原稿を、渋谷の郵便局で出版社に速達書留で送り終えて、宮益坂を登りきり、なぜか必ず立ち寄る青山のフローリストの店がある。季節ごとの店頭のフラワーアレンジメントの妙に、原稿を書き終えた解放感が報われる。

 たしか、夏の終わりのほおずきの鮮やかな色彩のアレンジメントは印象的だった。そして、決まって店の奥にある椰子や南国の植物が豊富な店内をいっとき歩き回るのが楽しみになっている。

 最近、その店頭に、世界的なフラワーアレンジメントの専門家、ダニエル・オスト氏の京都、東寺での花の展示の案内があり、チャンスがあれば、是非行ってみたいと思っていた。

 なにせ、「弘法大師・空海が帰朝してから1200年。記念となる今年の秋、世界各地の歴史的建築を舞台に美しい花の造形を創り続けてきたベルギー王室御用達のフラワーアーティスト、ダニエル・オストが弘法大師の聖地として知られ、真言密教の総本山である世界文化遺産・東寺において、かつてない花の芸術に挑みます」とパンフレットにはある。しかし、残念ながら、展示の期間は明日、十一月二十四日までで、チャンスを逸してしまいそうだ。

 どなたか、行かれた方から感想でも伺えれば、どれほど幸いなことか。弘法大師、世界遺産、ベルギー王室御用達のフラワーアレンジメントとやらが、いったいどんな結びつきを見せるのだろうか?

Photo 「花朧」(テンペラ混合技法)

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Exposition de peinture de de'trempe YUJIN KOYAMA 柔らかなテンペラ画の世界

テンペラ絵画個展 

新しいカメラで、個展に出品した作品の中央部分を撮ってみました。RIMG0041 柔らかなテンペラ画のディテールも鑑賞いただけると思います。RIMG0051 両脇の天使のような女性が捧げ持つ壷から光や蝶や花弁が溢れ、渦巻きながら豊饒の池と大地に吸い込まれていく部分に特に手数を要しました。黄金の光の渦の中に点描的な手法でアクセントを入れていくところが微妙でもあり日々深みが増していく楽しい部分でもありました。

 光の渦の周りには、亜熱帯の植物園で一瞬過った夢のような陶酔の中に浮かんだ幻の情景を浮遊させました。RIMG0045 圧倒的な生命力を感じさせる植物の繁茂と咲き乱れる花々の鮮やかさがなんともいえません。そんな楽園の中で、好きな動物たちと戯れる夢が好きです。濃いブルーの背景に、淡い星影が浮かぶ情景に、むしろ北方的な作品だと、個展の会期中におっしゃった方が何人かいらっしゃったのは意外でした。

RIMG0044 RIMG0046 RIMG0047 RIMG0048 RIMG0050

以前のカメラに比べて、細部がより明瞭にご覧にいただけますでしょうか?

「アジアの土から生まれた女神と命の物語」

個展全体の様子はホームページをご覧くださいhttp://homepage2.nifty.com/yujin-koyama/index.html

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